「もう二度としない」と口では言っている。信じたい。でも口約束は、前回も聞いた——再構築を選んだ人が書面を作りたくなるのは、疑り深いからではなく、口約束の限界をもう知っているからです。
誓約書は再構築の現実的な道具です。ただし、書き方を誤ると肝心なときに機能しません。必須項目から順に押さえます。
必須7項目チェックリスト
| # | 項目 | 文例の骨子 |
|---|---|---|
| 1 | 不貞の事実の認諾 | 「私は令和◯年◯月頃から◯◯氏と不貞行為を行っていたことを認めます」 |
| 2 | 関係の解消 | 「◯◯氏との関係をすでに解消したことを誓約します」 |
| 3 | 接触の禁止 | 「今後、業務上やむを得ない場合を除き、一切の連絡・接触をしません」 |
| 4 | 違約金の定め | 「違反した場合、違約金として金◯◯万円を支払います」 |
| 5 | 慰謝料の取り決め | 支払う場合は金額・期日・方法。夫婦間で請求しない場合はその旨 |
| 6 | 清算条項 | 「本件に関し、本書に定めるほか互いに何らの請求もしません」 |
| 7 | 署名・日付 | 本人の自筆署名と作成日。パソコン打ちでも署名は自筆で |
最重要は1の事実の認諾です。ここが具体的(時期・相手)に書かれていれば、この書面は「約束の証」であると同時に、再発して離婚となった場合の不貞の証拠としても機能します。誓約書が抑止力を持つのは、この二重の役割があるからです。
効力を削る3つの落とし穴
せっかく書かせても、次のパターンは効力を争われます。
- 過大な違約金 — 「違反したら1億円」のような現実離れした金額は、公序良俗(民法90条)の観点からその部分が無効とされえます。収入に対して現実的な金額(数十万〜数百万円の範囲で設定するのが一般的)にしてください
- 自由を奪いすぎる条項 — 「離婚を一切請求しない」「異性と口をきかない」など、法律上の権利や社会生活を全面的に縛る条項は無効リスクが高い
- 脅迫的な状況で書かせた — 怒鳴りながら・長時間監禁的に問い詰めながら書かせた書面は、「強要された」と後から争われます。冷静な場で、内容を読ませたうえで署名させてください
公正証書にするかの判断
慰謝料や違約金など金銭の支払いを含む場合は、公証役場で「強制執行認諾文言付きの公正証書」にしておくと、不払い時に裁判を経ずに給与等の差押えが可能になります。手数料は数万円程度。金額が大きい場合・相手の支払い意思に不安がある場合は、この投資は合理的です。書面だけで完結させたい場合も、内容が複雑なら弁護士のリーガルチェックを一度挟む価値があります。
誓約書の前提は、事実の全容
最後に順番の話です。誓約書の項目1(事実の認諾)は、あなたが事実を把握しているほど具体的に書かせられます。「何があったか分からないまま、とにかく謝らせて書かせた」誓約書は、認諾が曖昧になり、後から「そんな関係ではなかった」と争う余地を残します。全容の確認が先、書面はその後。事実確認の進め方は証拠の集め方と、必要に応じて無料相談で見立てを取ってください。
まとめ
- 核は「不貞の事実の認諾」。具体的に書かせれば、約束の証と再発時の証拠を兼ねる
- 違約金は現実的な金額に。過大な条項・強要された署名は効力を争われる
- 金銭を含むなら公正証書化を検討。順番は「事実の全容→書面」
浮気相手との示談で交わす場合は、求償権の放棄もセットで検討してください。
よくある質問
誓約書に法的効力はあるのですか?
当事者が合意して署名した誓約書は、契約書としての効力を持ちます。特に「不貞の事実を認める」という記載は、後に裁判になった場合の有力な証拠になります。ただし公序良俗に反する内容(過大な違約金・離婚の自由を完全に奪う条項など)は、その部分が無効と判断されえます。
夫が誓約書を書くのを嫌がります。
「信用されていないようで嫌だ」という抵抗は典型的です。ただ、再構築とは信頼を作り直す作業であって、信頼がある前提の作業ではありません。「書面にすることで私が安心してやり直せる」という目的を伝えて、それでも拒み続けるなら、その姿勢自体を再構築の本気度の情報として受け取ってください。
浮気相手にも誓約書を書かせられますか?
書かせられます。浮気相手との間では、接触禁止と違約金を中心にした合意書の形になり、慰謝料の示談と同時に交わすのが一般的です。その際は求償権の放棄条項もセットで検討してください。
関連する記事
-
不貞行為とは|「浮気」との法律上の違いと、慰謝料請求が成立する範囲
不貞行為とは、配偶者以外の相手と自由な意思で肉体関係を持つことを指す法律上の概念です。日常語の「浮気」との違い、キスやデート・マッチングアプリ登録が不貞に当たるか、慰謝料請求が成立する範囲と必要な証拠を解説します。
-
浮気相手に慰謝料を請求するには何を特定すればいい?必要な情報と正当な調べ方
浮気相手への慰謝料請求には、氏名と住所(送達先)の特定が必要です。内容証明や訴訟に最低限必要な情報、探偵の行動調査や弁護士会照会といった正当な特定手段、SNS特定や職場への接触などやってはいけない方法を解説します。
-
夫婦の話し合いがうまくいかない人のための準備シート|感情と事実を分けてから切り出す
浮気・すれ違い・将来の不一致など、重い話し合いは準備で結果が決まります。話し合いの前に埋める準備シート(事実・自分の気持ち・望む状態・譲れる範囲)、切り出しの文例、話し合いが決裂するNGパターン、まとまらなかったときの扱いを解説します。